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知っておきたい菌とウイルス 第二章~菌の病原性~2019.11.22

第一章では菌とウイルスの生物としての違いを解説しました。

今回のテーマは「菌の病原性」です。

身近な病気の原因である菌

菌はどこにいるの?

菌は、身の回りのあらゆるところにいます。

例えば、土の中、水の中、空気中など自然環境はもちろん、皮膚の表面や腸内、口の中など、私達の体にもたくさん棲んでいます。

ヒトがまともに生きられないような

100度を超える熱水が吹き出す深海や、

地面の奥深く地下5,000mの土壌中や、100℃を越える熱水の中、水深6,000mの海底、はたまた、地上から5,000mの遥か上空からも、微生物の存在が確認されています。

微生物がいないような空間を目にすることは、大変難しいのでは無いでしょうか?

すごいバイタリティですね

ヒトにダメージをもたらす菌

ほとんどの菌はヒトにとってなんの影響もありませんが、一部の菌は有害な物質を作り出し、体にダメージを与えることがあります。

身近な菌を例にとって、詳しく見てみましょう!

黄色ブドウ球菌

感染すると?

典型的な食中毒の症状で、吐き気や腹痛、嘔吐、下痢などの症状が出ます。

潜伏時間は30分~6時間(平均約3時間)、通常は1日から2日で治ります。

特別な治療法はなく、下痢になった場合でも下痢止めは使用しません。脱水症状にならないよう十分に水分を取るなどの対症療法で菌が身体から排出されるのを待ちます。

感染を予防するには?

おにぎりを素手で握るなど、食べ物を直接触ってしまうことで食中毒の原因となります。

料理前の手洗いを徹底し、食べ物に菌をつけない・増やさないことが大切です。

作ったらすぐに食べるか、冷蔵庫で保存することを徹底しましょう。

どこにいるの?

ヒトの生活環境に広く分布しています。

健康な人でも、20~30%はこの菌を保有しているとされ、鼻やのど、口の中、髪の毛、などにいます。

傷口などにもいますので、手指に傷がある場合は調理を避けるか、ビニール手袋などをましょう。

どんな物質を作る?

黄色ブドウ球菌は食べ物の中で増殖するときに『エンテロトキシン』という毒素をつくります。

菌自体は熱に弱いのですが、毒素は熱や酸に強く、100℃で30分加熱しても分解されません。

このように毒素が原因で起こる食中毒は「毒素型食中毒」と呼ばれます。

ミュータンス菌

感染すると?症状~対処

むし歯の原因菌のひとつです。

増殖する際に乳酸などの様々な物質を作ることで口の中を酸性に傾け、歯にダメージを与えてしまいます。

歯のカルシウム等が溶け出し、歯を溶かしてしまいます。

この状態がずっと続くと、ついには穴が空いてむし歯になります

感染を予防するには?

唾液によって人から人に伝染ります。

決して特別な菌ではなく、成人であれば誰の口のなかにもいます。感染を完全に予防することは難しいですが、歯磨きで虫歯の発生を抑えることが出来ます。

きちんと歯を磨いているつもりでも、歯の裏側や歯と歯の隙間など、意外と磨き残しがあります。

で半年~1年に1度は定期的に歯科検診を受け、歯や歯茎の健康状態をチェックしてもらいましょう。 

どこにいるの?

ヒトの場合はとくに歯垢中に多く、舌面や唾液中からはあまり検出されません。

どんな物質を作る?

増える時に「グルカン」というネバネバの物質を作り出して歯に強力に付着します。この中で菌が繁殖して白い汚れとなったものが歯垢(プラーク)と言われます。

続いて乳酸を作り出し、歯の表面のエナメル質を溶かしてしまいます。

白癬菌

感染すると?

感染すると?症状~対処

白癬菌というカビの一種で、皮膚に感染します。

足指の間や足の裏、足の爪などに感染すると「水虫」と呼ばれます。

抗真菌薬を指示通り付けていただければ、多くの場合は治療期間は数ヶ月程度です。再度感染することもあります。

感染を予防するには?

ヒトからヒトにうつります。

水虫にかかった人の皮膚からはがれ落ちる角質(鱗屑)の中にも生きているので、それを素足で踏んだりして菌が付着することにより感染します。

。毎晩入浴して足やからだを清潔にし、弱酸性の状態に保っていれば、感染は予防できます。

どこにいるの?

白癬菌は、高温多湿の環境を好みます。また、皮膚表面に汗や汚れが残っているアルカリ性の皮膚環境も、白癬菌が繁殖しやすい状態です。

どんな物質を作る?

特に毒素は作らず、菌自体が増えることで

また水虫の場合は、水虫の原因菌(白癬菌)が角質を食べ生産した物質により炎症が生じ、かゆみや皮むけが起こるようになります。

つまり、菌が繁殖するときに生産されるなんらかの物質により、細胞にダメージを受け、病気になっていることがわかります。

身体の免疫反応

これに対して、体はさまざまな免疫の仕組みにより菌を駆除していきます。 しかし、菌側も免疫から逃れる物質や、免疫細胞を攻撃する物質を出したり、あるいはバイオフィルム(ヌメリの物質)をつくり閉じ籠ることで対抗していきます。そして菌の増殖のスピードが勝っている場合に、実際に症状があらわれてきます。

私たちの体は常に菌の繁殖に対して、免疫で対抗しながら健康を維持しています。普段から食事、睡眠、運動のバランスを意識して、免疫を健全な状態に保ち、病気になりにくい生活をしたいですね。

第三章は~~~~~~~~
お楽しみに!

菌とウイルスの違いと病原性 第三章~ウイルスの病原性~2019.11.22

前回の菌の話から、今回はウイルスの話をしたいと思います。ウイルスは菌と違って他の生物の細胞に寄生して増殖するので異なるライフサイクルがあります。また菌と同様にヒトに病原性を発現するウイルスも限られた一部のウイルスになります。

・第一章 菌とウイルスの違い
・第二章 菌の病原性
・第三章 ウイルスの病原性

標的となる細胞

ウイルスは他の生物の細胞に寄生して増殖すること(参照:第一章)を前に説明しましたが、ウイルスは種類によってそれぞれ標的となる細胞があります。そしてその細胞を持つ動物の生活環境の中でライフサイクルを送ります。例えば、新型コロナウイルスは人の肺の細胞に感染し、人の生活環境で存在し続けています。自然界では、ネコにはネココロナウイルスというものがあり、ブタにはブタコロナウイルスがいて、複数の生物にまたがることもありますが、その動物の生活環境で感染と増殖を繰り返しています。  また感染する細胞が異なる例で言えば、肝炎ウイルス(A、B、C、D、E型)は肝臓、食中毒の原因となるノロウイルスであれば小腸、おたふくかぜ(ムンプスウイルス)は唾液腺(※全身に感染することもある)と、それぞれの細胞に感染します。

細胞への感染と増殖

では次にウイルスが感染してから増殖するまでの過程を見ていきましょう。ここでウイルスの増殖の話に入る前に、細胞の中の構造を簡単に説明します。細胞には核と呼ばれる遺伝子を格納している器官があり、その周りには、細胞の素材となるタンパク質をつくる部分、エネルギーを作り出す部分、不要なものを排出する部分、等があります。細胞の各部分は連携しながら活動し、分裂して増殖をします。特に主要な活動として、タンパク質をつくることがありますが、その順序を説明します。

  • 設計図となる遺伝子(DNA)から、情報をコピーし、核の外へ運び出す。
  • 遺伝子の情報をもとに、タンパク質を合成する。
  • タンパク質が細胞内の各器官又は細胞外に送り届けられる。
図1 細胞内でタンパク質をつくる様子

ウイルスはこの細胞の活動を利用して増殖を行います。ウイルスは標的となる細胞に取り付くと細胞内に侵入し、自らの遺伝子を細胞内に注入します。その後は、以下の順序で増殖を行います。

  • 注入されたウイルスの遺伝子(DNAもしくはRNA)から、寄生した細胞の遺伝子(DNA)の書き換えが行われる。もしくはウイルスの遺伝子がそのままコピーされる。
  • 書き換えられた遺伝子、もしくはウイルスの遺伝子の情報をもとにウイルスを構成するタンパク質が合成される。
  • ウイルスを構成するタンパク質やコピーされたウイルスの遺伝子が組み合わせられる。
  • 細胞外にウイルスが放出される。
図2 ウイルスが細胞内で増殖する様子

ウイルスは、感染しては上記の過程を繰り返し、数を増やしていきます。その過程で一部のウイルスは細胞を破壊したり活動を失わせたり、あるいは変化させてしまうことで病気の症状が出てきます。そして感染している生物が、他の生物と接触したときに、その個体を飛び越えて感染を拡げていきます。感染の抑制のために、感染症になった人に対して人との接触をさけるように注意が促されるのはこのためです。菌の増殖のスピードが勝っている場合に、実際に症状があらわれてきます。

 ウイルスは他の動物の細胞の仕組みを利用して増殖をします。その過程で一部のウイルスでは細胞が破壊されたり活動が失われたり、あるいは変化してしまうことで病気になってしまいます。また生物の生活環境の中の生物同士の接触で感染が拡がっていきます。

最後に(筆者の一言)

 第3回にわたり菌とウイルスについてお話しをしましたがいかがだったでしょうか。私は菌やウイルスについて、それまでのイメージとの違いを感じて、予防に対する意識の向上や生物の進化の不思議さを感じるようになりました。本内容は専門的に学べばとても難しいものですが、概要がわかることで詳細な文献も理解できると思い作成しました。もし興味がある方は、他のサイトも併せてご確認ください。